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2026年03月13日

【セミナーレポート】3/10開催|制作会社・開発会社のための AI時代の生存戦略セミナー

【セミナーレポート】3/10開催|制作会社・開発会社のための AI時代の生存戦略セミナー

この記事の要約

本記事は、3月10日に開催された「制作会社・開発会社のための AI時代の生存戦略セミナーのセミナー」の内容をもとにしたレポートです。

AI時代において、制作・マーケティング・営業の現場は大きく変わりつつあります。 本セミナーでは、3名の登壇者がそれぞれの立場から、 制作会社の価値転換、提供価値の再定義、業務設計と営業戦略の再構築について語りました。

  • 第1部:制作会社は「作業業」から「戦略プロデュース業」へ移行する必要がある
  • 第2部:AI時代ほど、Whyから始まるブランディングと言語化が重要になる
  • 第3部:AIで作業を効率化し、人間は信頼関係の構築に集中すべきである

AIを導入すること自体が目的ではなく、 自社の価値をどう再定義し、どこに人間ならではの強みを置くのかが 全編を通しての共通テーマとなっていました。

導入

AIの進化によって、これまで人間が担ってきた制作・運用・営業活動の前提が大きく変わり始めています。 制作会社においては、単純な制作能力そのものがコモディティ化しつつあり、 マーケティングの現場では機能や施策だけでは差別化が難しくなり、 営業の現場では「情報を持っていること」よりも「信頼を築けること」が価値になっています。

今回のセミナーでは、こうした変化をそれぞれの実務領域から捉え直し、 AI時代に企業がどう価値を再設計していくべきかが議論されました。 単なるツール導入の話ではなく、

AIを前提にしたとき、人間の役割と企業の提供価値はどう変わるのか

という問いに対して、実践的な視点から示唆が提示されたセッションだったといえます。

第1部 AI活用:制作会社の価値転換と新ビジネスモデル

ウェビナーの第1部では、ミリモルホールディングス代表の河野氏が登壇し、 AI時代の制作会社がとるべき戦略について論じました。

河野氏は、AI活用の本質を

「人間の作業を完全に置き換えること」ではなく、「人間の制作能力を10倍にスケールさせるインフラ」

と定義しました。

AIによって制作コスト・時間は削減され、 特に広告制作速度は60%程度高速化するとし、 結果としてコンテンツが爆発的に増加し 「制作能力」そのものがコモディティ化する未来は避けられない と指摘しました。

この変化に対応するため、制作会社の提供価値は3段階でシフトすると予測されました。

  • 作業価値: デザイン、コーディング等。完全にAI化される
  • 制作ディレクション価値: 構成設計、クリエイティブディレクション等。人間がAIに指示を出す形で担う
  • 戦略価値: 戦略プランニング、プロデュース等。最も重要な価値となる

このシフトに基づき、制作会社は 「作業業」から「戦略プロデュース業」へと変革する必要がある と強調しました。

そのための具体的な生存戦略として、以下の3方向を提示しました。

  • AI制作工場: 効率とコストで勝負するが、難易度が高い
  • AIマーケティング会社: 戦略価値で差別化を図る
  • AIオーケストレーション会社: 自社の強みを再定義し、AIの力で市場を創造する

特に3番目の AIオーケストレーション会社 が、1と2を組み合わせた理想的な姿であるとしました。

また、こうした変革を実現するビジネスモデルの要点として、次の3つを挙げました。

  • 自社IPの保有
  • 業務自動化ノウハウの製品化(オーケストレーション)
  • フィジカルと組み合わせたAIマーケティング支援

ただし、こうした高度なAI活用に進む大前提として、 まずは自社の業務プロセスそのものを見直し、整理・言語化することが不可欠であると結論付け、 次のセクションへと繋げました。

第2部 マーケティング:提供価値の再定義とブランディングの重要性

第2部では、サン代表の田中準也(ジュンカム)氏が登壇し、 AI時代におけるマーケティングとブランディングの重要性を説きました。

同氏はまず、多くの企業が自社の 「強み」や「提供価値」を明確に言語化できておらず、経営者と現場の認識が乖離している 問題を指摘しました。

さらに、スマイルカーブの概念を引用し、 AIの台頭によって従来価値が高いとされた「制作」のみならず 「運用」の価値も低下し、 上流工程である 「戦略設計」の重要性が一層増している と解説しました。

この状況下で、多くの企業が同じような解決策しか提供できない 「金太郎飴状態」 に陥っていると警鐘を鳴らし、 これを脱却するための普遍的なフレームを提示しました。

  • Why: 企業の存在意義(パーパス、ビジョン、ミッション、バリューなど)
  • What / Where: 提供価値と創造すべき市場
  • How: 具体的な戦術(4P:プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)

多くの企業がHow(機能)に偏りがちですが、 コモディティ化が進む現代においては、 Whyから始まる一貫した価値提案が不可欠 であると強調しました。

さらに、

  • マーケティングとは市場を創造する活動
  • ブランドとは顧客の中で認識される記号化された意味

であると言及しました。

顧客から正しく認識され、競合との差別化を図るためには、 自社の価値を言語化し、 社内外で共有する インターナルコミュニケーションが極めて重要 だと述べました。

最後に、これらの言語化された提供価値を AIに正しく認識させること が、 AIが生成するコンテンツの質を高め、 顧客とのコミュニケーションを円滑にする上でも不可欠であると締め括りました。

第3部 業務設計と営業戦略:AIによる効率化と人間中心の関係構築

第3部では、プロトソリューション執行役員の日向野氏が、 自身の経験を基に業務設計と営業戦略の再構築について語りました。

同氏は、ある業務で 150個ものスプレッドシートが乱立し、属人化と非効率を極めていた実例 を紹介しました。

Salesforceの導入によってこれらの管理工数を一元化し、 試算上、年間1524時間もの工数削減が見込まれる改善プロジェクトを進行中であると明かしました。 この事例から、 業務フロー全体を見直し、人がやるべきこととシステムがやるべきことを明確に切り分ける重要性 を訴えました。

次に、営業活動における時代の変化を以下のように分析しました。

  • 過去(関係性の時代): 情報の非対称性が大きく、人柄や足繁く通う量で売れた
  • 近年(情報優位性の時代): Webの普及で顧客も情報を持つようになり、情報整理力とスピードが求められた
  • 現在(信頼の時代): AIで情報が民主化され、ありきたりな提案は価値を失った。顧客の課題の本音を引き出すための「信頼関係」こそが最大の武器となる

この 「信頼の時代」 において、営業担当者は

  • アポイント調整
  • 議事録作成
  • 資料作成

などの作業的な業務をAIで徹底的に効率化し、 創出された時間を 「顧客との本質的な関係構築」に集中させるべき だと主張しました。

自身もコロナ禍で年間1000人以上と面談した経験から、 量よりも質、 すなわち深い関係性を築けるコミュニティへの参加が重要だと感じていると述べました。

また、大規模アカウントには個社別の綿密な戦略を、 小規模アカウントには自動化されたプロセスを適用するなど、 顧客セグメントに応じた戦略の使い分け も不可欠だと説明しました。

最後に、

AIは制作や作業はできても「信用」は作れない

とし、 人がAIを使いこなし、顧客とフィジカルに向き合うことが最も重要であると結論付けました。

まとめ

本セミナーでは、AI時代における企業の価値転換を、 制作・マーケティング・営業という異なる視点から捉え直していました。

  • 制作会社は「作業」ではなく「戦略」を担う存在へ変わる必要がある
  • マーケティングではWhyから始まる価値の言語化とブランド設計が重要になる
  • 営業ではAIで作業を効率化し、人間は信頼関係の構築に集中すべきである

共通していたのは、 AIによって作業の価値が下がるほど、人間が担うべき上流の設計・意味づけ・関係構築の価値が上がる という点です。

AI活用は単なる効率化ではなく、 自社の強みを再定義し、 人間が担うべき役割を明確にするためのプロセスでもあることが、 今回のセミナーを通じて改めて浮かび上がりました。

登壇者一覧

河野貴伸

MMOL Holdings 株式会社 代表取締役/CAIO

Shopify 日本初代エバンジェリスト
1982年生まれ。東京の下町生まれ、下町育ち。からくり人形師を祖に持つ河野家の十五代目。2000年からフリーランスのCGクリエイター、作曲家、デザイナーとして活動。2013年、ブランディングエージェンシー、株式会社フラクタ創業、代表取締役就任。2020年、上場企業にバイアウト。2024年1月、フラクタの代表を辞任し2024年2月、AIのマネジメント、トレーニングおよびAIを活用した事業支援を行うMMOL Holdings 株式会社設立、代表取締役就任。
XA議長をはじめ、株式会社顧客時間 CAIS、コマースメディア ExecutiveAideProducerも務める。

田中準也(ジュンカム)

株式会社サン 代表取締役会長 プロデューサー / コネクター

クレディセゾン、ジェイアール東日本企画、電通、トランスコスモス、メトロアドエージェンシー、電通レイザーフィッシュを経て、2015年インフォバーン入社、2021年より2025年まで代表取締役。2025年4月より現職。
ほかに、イベントレジスト株式会社・チーフエンターテインメントオフィサー、株式会社ワンパク・グロースパートナー、一般社団法人マーケターキャリア協会・代表理事、Advertising Week Asia・アドバイザリーカウンシル、産業能率大学・兼任教員、女子美術大学・非常勤講師などを務める。

日向野信吾

株式会社プロトソリューション 執行役員営業部門担当

大学時代はバンド活動や映画活動に明け暮れる。2005年新卒で、株式会社NTTドコモに入社。栃木支店で当時FOMA拡販の為の販売企画を担当。
2006年8月に大学時代から続けていたバンドが(メンバーの手によって知らぬ間に)デビュー。全国ツアーを周りきった9月にNTTドコモを円満退社。脱サラで専業バンドマンへ。Countdown JAPAN FES 07/08、ROCK IN JAPAN FES 08 などに出演。
2011年事務所契約解除と共に、再度ビジネスの世界に戻ることを決め、プロとソリューションに入社。2016年に事業部長就任。2017年執行役員営業部門長就任。株式会社UB Datatech・株式会社オニオンで非常勤取締役などを務める。

Experience Allianceについて

Experience Allianceは、AI技術とブランディングの専門知識を融合させ、企業の持続的な進化を支援する次世代ブランディングパートナーです。ブランドとAIの融合による新しい価値創造を目指しています。

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